歯科用エックス線検査、レントゲンの原理や種類についてわかりやすく解説
- 2024年2月19日
- 一般
エックス線検査は誰もが人生で1度は受けた事がある検査だと思います。
歯科でもよく用いられるエックス線検査についてまとめました。
エックス線検査では
被ばくの影響を考えて不安に思う方も多いと思います。
しかし被ばくのリスクを気にして検査をしなければ
重大な疾患を見逃したり、正常な診断や治療につながらない可能性が高いと言えます。
近年の歯科でのレントゲン撮影やCTによる被ばく量はとても少ない量です。
(だからといって不用意になんでもかんでもレントゲン検査ではいけませんが)
この記事ではどのような撮影方法があるのかや、撮影でわかる事についてをしっかりと解説していきます。
歯科におけるエックス線検査でわかる8つの事
① 虫歯の有無や広がり
レントゲンでは硬いものが白く、逆に柔らかいものや空洞は黒く写ってきます。
歯は硬いので白いです。
虫歯で歯が溶かされるとそこは柔らかくなるため、黒く抜けて写ります。
② 歯石の沈着
歯の周りに沈着している歯石が大きいとレントゲンでも確認できる場合が多いです。
③ 歯周病による骨の吸収
歯周病で骨が溶かされると本来の骨のラインより低くなるので
骨の吸収が顕著な場合はレントゲンの所見からすぐにわかるでしょう。
④ 親知らずの位置
親知らずは歯ぐきの下に隠れているケースも多く
視診だけでは十分な情報を得られないので
レントゲンを撮影し、骨のどの辺りに埋まっているかを確認します。
⑤ 矯正治療の診査
セファロ撮影という矯正の診査、診断のために撮るレントゲン写真があります。
矯正治療には必要不可欠なレントゲン撮影です。
⑥ 顎の関節部の骨の状態
顎関節症といって
口が大きく開けにくい、逆に開いたまま閉じない、顎がカクカク音が鳴る
などの症状がある方の
関節の骨の状態確認にレントゲン撮影を行う事があります。
⑦ 骨折やヒビがないか
転倒や事故の際に骨折やヒビが顎の骨に無いかの確認をする時にもレントゲンを使用します。
歯が欠けたり割れたりしているような場合もレントゲンで確認可能です。
⑧インプラントのスペースの確認
インプラントを計画する段階では
CTという立体的なレントゲン写真の撮影が必要不可欠です。
他にも根の先の病巣を見たり
小児患者であれば、永久歯が正常な数あるかを確認したり
色々な事にレントゲン撮影を用います。
続いて
歯科のエックス線写真の種類
パノラマ撮影
デンタル撮影
デンタル撮影は1つ前のパノラマ撮影と比較すると、ごく小さい範囲を撮影します。
具体的には3〜4本の歯の頭の部分から根の先の部分までが確認出来るぐらいです。
パノラマ撮影よりも精密に歯を見る事ができます。必要に応じて使い分けています。
CT撮影
ここまでにご紹介したパノラマ撮影、デンタル撮影は立体的なものを二次元画像にしたものですが。
CT撮影は三次元的に患者さんの状態を把握する事が出来ます。
このCTだと前述の撮影方法で見つける事ができなかった病変を見つける事ができたりします。
もちろん今回紹介している様々な撮影方法、それぞれに優れた点と劣る点があり
ケースによって適した撮影方法を選択する必要があります。
セファロ撮影
矯正治療の分析にこのセファロ撮影は欠かせません!
このような側面のものが多いですが
正面から撮影したものも矯正の分析、診査に用いる事があります。
その他だと
エックス線は使いませんが
MRI撮影(磁気共鳴映像法)といって磁石の性質を用いて撮影するものもあります。
歯科では顎の関節部の状態を見る時に使用したりします。
こちらは一般のクリニックに設置されるような装置ではなく大きな病院に導入されるものです。
歯科のレントゲンの原理
レントゲンがなぜ人体を透過して見る事が出来るのかについてもお話しさせてください。
レントゲン撮影では
X線照射装置から放射線を人体に向けて照射し、それを後ろにあるフィルムが受けます。
下のイラストの様に
放射線は硬いものに邪魔されずにフィルムに当たると
その部分は写真上では黒く写ります。
放射線が骨など硬い組織に当たると一部もしくは全てが吸収されフィルムに到達できなくなり
硬い組織の背後は写真上では白く写ります。
放射線が照射され体内に入ると
透過して体外に出てくるものと、吸収されるものとに分かれるのです。
その透過・吸収の差を白から黒の濃淡の変化で
表したものがレントゲン写真なのです。
高密度な組織である歯、骨や金属は密度が高くX線を吸収するため白く表されます。
逆に空洞や虫歯は密度が低く、X線を吸収する組織が少ないため黒く表されるのです。
この原理を利用して診査を行い
それに基づいてしっかりとした診断、治療計画へと進めていく事が出来るのです。
まとめ
レントゲン検査は医療において、とても重要な検査です。
当然不要な検査を避けて必要な検査のみを行う事が大切です。
お話をしっかりと聞く「問診」
触って膨らみや硬さなどを調べる「触診」
歯をコンコンと叩いてみて違和感や痛みを調べる「打診」
など他にも様々な診査を行い、原因の診断にあたります。
今回はエックス線検査についてまとめました。
最後までご覧いただきありがとうございます。
「執筆、監修者」
歯科医師:平岩瑛郁
出身大学:大阪歯科大学