虫歯や歯周病から歯を守る唾液の役割~歯医者が解説~
- 2023年9月9日
- 予防歯科
虫歯や歯周病から歯を守る唾液の役割~歯医者が解説~
唾液って体にとってどのような役割があるのか?そんな疑問に現役歯科医師がお答えします。
実は唾液には素晴らしい作用がたくさんあるのです!
- ウイルスや菌から体を守ったり
- 食べ物の飲み込みをスムーズにしたり
- むし歯菌の出す酸から歯を修復したり
体にとってメリットばかりの唾液についてまとめました。
予防歯科を語る上で
唾液については避けて通れません。
唾液とは
唾液の成分の約99.5%は水分です。
そして残りの約0.5%に抗菌成分や酵素などが含まれています。
実は唾液はほぼ水なんです。
でもその水分が流れる事が大切だったり
0.5%に含まれる成分が大事なのです!
唾液は人によりますが
1日に1〜1.5リットル分泌されると言われています。
口の渇きを感じる方は水分の摂取が足りていないかもしれません。
こまめに水分を摂取するように心がけてください。
唾液は口の周りの筋肉をしっかりと使う事や、食べ物をよく噛むことでよりたくさん分泌されます。
唾液はどこから出てくるのか
唾液は唾液腺(だえきせん)というところから分泌されます。唾液(つば)を作る組織の事です。
唾液腺には大きいものと小さいものがあります。
大きい唾液腺→大唾液腺
だいだえきせん
小さい唾液腺→小唾液腺
しょうだえきせん
と言います。
大きい唾液腺
大唾液腺は3つあり
耳の下にある 耳下腺→耳の下
じかせん
顎の下にある 顎下腺→顎の下
がっかせん
舌の下にある 舌下腺→舌の下
ぜっかせん
です。これらを3大唾液腺と言います。
唾液量が少ない方は
ここを優しくマッサージする事で唾液分泌を促す事ができます。
耳下腺といえば
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)で腫れる場所が
ココです
小さい唾液腺
大唾液腺と違い、小唾液腺は口の中の粘膜にたくさん存在しています。小唾液腺は口唇(くちびる)や舌、頬などの粘膜に分布しています。
この小唾液腺がつまってしまうと粘液嚢胞という病変になる事もあります…..
粘液嚢胞が生じやすい部位としては唇が多く、通常痛みは無く膨らみがあります。自然につぶれて小さくなりますが、再発する事が多いです。
粘液嚢胞は一般の歯科医院でも対応できますが、口腔外科の受診が望ましい場合もあります。まずはかかりつけの先生に相談してみてくださいね。
唾液の作用を6つ紹介
①自浄作用
口の中に残っている汚れを洗い流す作用があります。
ですが歯磨きは必要です。
唾液も手伝ってくれるぐらいのイメージです。
②再石灰化作用
歯が表層下脱灰といって少し溶けた時
唾液がそこを修復してくれる作用があります。
むし歯菌の出す酸から歯を守る力があるのです✨
③緩衝作用
お口の中のph(酸性、アルカリ性)を
中性に保とうとする作用があります。
コーラやワインなど酸性のものを摂取した時
唾液が酸をある程度中和してくれるのです。
酸性食品で歯が溶ける事を酸蝕症と言いますが、
酸蝕症からも歯を守る力があります。
④抗菌作用
唾液の中には抗菌成分が含まれており
菌やウイルスへの防御作用があります。
(例)
唾液に含まれるムチンという成分は
入ったきたインフルエンザウイルスと結合し、抗ウイルス作用を発揮すると言います。
⑤消化作用
唾液の中にはアミラーゼという消化酵素が含まれており
デンプンやグリコーゲンを分解してこまかくする作用があります。
胃で消化されやすい状態にする事で
胃への負担を軽減してくれる力があるのです。
⑥円滑作用
潤滑作用とも呼び
唾液が潤滑油のような働きをしてくれます。乾燥した食べ物でも唾液と混じると飲み込みやすくなります。
飲み込み・発声や咀嚼をスムーズにしてくれる作用です。
その他にも唾液は味を感じるのに役に立ったり、粘膜の保湿や保護にも関与しています。
〜まとめ〜
この記事で書いた通り
唾液には
体のための作用がたくさんあります。
唾液を出すためには
唾液腺マッサージ以外にも
よく噛んで食べる事や
キシリトールガム(シュガーレス)なども
おすすめです!
「執筆、監修者」
歯科医師:平岩瑛郁
出身大学:大阪歯科大学